前回のブログでは、来たる10月の白鳥湖全幕演奏会、バレエ付き、の打ち合わせの様子につて報告をしましたが、次の音楽監督の仕事は、譜面のカット割りの決定とMナンバー表作成が練習開始前の最初の仕事になる。
いよいよ音楽監督の作業スタート!
今回は、全曲合わせて40曲近いMナンバーのある全曲版スコアから、振り付け、ストーリーに合わせての曲順の決定とカット曲の選定から。
全曲から約8曲を除いて、32曲の曲順を決定。
それから各Mナンバーごとに、踊り=振り付けのある曲については具体的な曲の寸法、リピート、カットなどを確定し、さらに今回は振り付けのない踊りのナンバーや情景、マーチなどそれぞれのカットを決めていくわけだ。
とは言っても、踊り=振り付けの入る曲については、あらかじめ振り付けの寸法、リピートや間奏の有る無しなどは振り付けのご本人からお聞きしているので、それに従って各パート譜とスコア上の練習番号や小節番号などを確認しながらカットを書き出していく気を遣う作業。
振り付けの無い、演奏だけで聞かせるナンバーについては音楽監督の特権で、歌いながらここは繰り返しだからカットとか、ここからここへ飛んで繋がる等など。
自分の好みと、お客さんが聞いて違和感が無いように、というのが最終決定の基準にはなるけれど、そこは個人の好みも大きく影響するわけで、特権とばかりに好きなところは当然繰り返すし、面倒なところやクドいところはザクザクと切っていくわけ。
何しろ譜面通り全曲やったら、とても2時間の演奏会では収まらないと運営の方からキツく言われているので、ザックザクとか大小カットすること90箇所以上。
そもそもバレエを含む舞台音楽は(オペラやミュージカルも)、その作品の顔となるタイトルバックとその変化パターン、準主役やヒロイン、悪役などのキャラクターを表すもの等など、メインのナンバーを中心に数曲の柱ナンバーと情景や戦いなどの場面ごとの音楽、それにBGMと場面転換などに分けられる。
バレエだけの特徴としては、この他に各国の代表的な踊り=ダンスナンバー(ポロネーズやワルツ、マズルカ等など)、そして主役や王子役などの見せ場となるパ・ド・ドゥがある。
パ・ド・ドゥはイントロダクション又はしっとり魅せるアダジオ、男性女性ソリストそれぞれの見せ場、ヴァリエーション、たいていはアップテンポのコーダで1つのセットとなっており、全幕バレエの中での大きな見せ場、クライマックスとなる。
チャイコフスキーの3台バレエの場合、今回の白鳥湖が最初のバレエ、続いて眠りの森の美女、くるみ割り人形と作品を重ねるにつれ、作品はコンパクトに締まった内容となり、オーケストレーションは円熟してより難しくなる訳で、最初のバレエである白鳥は特に様々な演出上の改良などに伴って、1幕の音楽を3幕で使ったりなど、スコアを切り刻まねばならない事情があってちょっと厄介。
今回はオケの演奏会なのでまだオケのペースで勧められるが、これがバレエ団の舞台ともなるとバレエ団ごとにバージョンが違うので困ったもの。
お陰で、ウチにある白鳥湖全幕の指揮者用フルスコアはバージョンが3通りあって、そのどれもがカットが違うと来ている。
実はブッチャケテてしまえばチャイコはまだ良いほうで、これがジゼル=アダンなんかになろうものなら、全く別の音楽が挿入されていて、物によってはチャンとオーケストレーションされていず、スコアから書かなくてはならないことも。
実際今回の白鳥でも、有名なヴァリエーションの後半ゴッソ自分で書き足したスコアを挿入して使っている箇所もある。
そんなこんなで、とにかく練習が無事に開始できるような譜面の作り、カット決めが最初の作業となるのであった。
あれれ?
今回は、結構楽しんでやっている音楽監督の特権のカット切り刻み作業について、意欲満々
、作業開始!と書いてるはずが、何だか愚痴になってきちゃった。(^^;)
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